自作シンセの構造について (2)
今回はMIDIインターフェイスマイコンとDCO(下図参照)について解説する。
MIDIとは、現代の電子楽器において実装していない製品はないと断言してよいほど普及しているI/Oである(USB-MIDIとかもあるけど)。登場してもう30年以上が経過しており、こなれたインターフェイスとして処理能力の低いマイコンでも手軽に送受信ができるため、Arduinoなどでも手軽にMIDI楽器が作れたりする。
しかし、枯れた技術である反面、ボーレートは"31500bps"とかなり遅めである。しかも送信される情報は音程を表すNOTE信号や鍵盤のON/OFFを表すGATE信号の他にもピッチベンドやらモジュレーションやら多くの演奏情報も付加されるため、DCOに直接MIDIが入るとシリアル割り込みだらけになって本業に差し障る!
というわけで、MIDIを受信してNOTE信号とGATE信号のみを濾過してくれるマイコンを置くことにした。MIDIインターフェイスマイコンからはDCOへノート情報のみがUART通信で送信される。また、鍵盤のON/OFFであるGATE信号はフィルタとアンプを司るマイコンに入力される仕様となっている。
実際に使用したマイコンはATMega 328P(Arduino)である。買うところを選べば¥300程度で入手できるのでお手軽です。以前はこれでDCO作ったりもしたけど、またの機械に...。
2. DCOについて
DCOボード(1Voice)
続いて波形を発生させるDCOボードについての解説である。2系統x3波形(後述)を自由に混ぜられるProphet-600のVCOを参考にした。ノイズは入ってない。多分あとで入れる...かも。波形は三角波・矩形波・ノコギリ波がメインとなっているウェーブテーブル方式を採用している。デチューンも可能である。
これは1Voice分の回路なので、一音しか発することはできないが、並列で増設ができるような仕様(形状?)としたため、将来のポリフォニック化も容易である。実は内部のプログラム的には16波形のミックスが可能なので、SuperSawなどのトランス系の音色も出せるが、いかんせんモノフォニックなので説得力に欠けるという...。
3. コンソール類
これは2系統x3波形を体現したモジュールである。スイッチのON/OFFにより3波形(三角波・矩形波・ノコギリ波)を自由に混ぜることができる。つまみはデチューン用のものである。とは言いつつもDCOでソフトウェア的に読み込んでいるため特に制限はなく、波形もテーブルの内容を書き換えれば良いため、テスト用のスイッチといったところか。
次の投稿ではフィルタとアンプについて解説する。